キャスター&車輪の取扱い

キャスター・車輪の誤った使用は変形・摩耗・劣化を進行させ、キャスターの破損による人的・物的損害の原因となります。十分にご注意ください。

キャスター・車輪の主な用途

キャスター・車輪製品は主として、ハンドトラック、ハンドリフト、ラック、ロールボックスパレット、構内用運搬車およびその機器に取付け、人力で間欠的に搬送する場合に使用するものです。

キャスターの許容荷重

最大荷重は下記の使用条件を前提に設定したものです。安全率を考え、最大荷重×80%程度でのご使用をお勧めします。

車輪径 走行速度 温度環境
75mm以下 2km/以下 -5℃~60℃
100mm以下 4km/以下

上記以外の環境となる場合は、条件を明確にし、当社にご相談ください。

始動抵抗及び走行抵抗

平滑なコンクリート路面を走行する場合、始動抵抗及び走行抵抗は下記のように算定してください。
転がり摩擦係数をμ、動き出すのに必要な力をF(kg)、積載荷重+車体自重をW(kg)とすれば、

始動抵抗はF=μ・W

μの値は下表をご参考ください

ウレタン(ベアリング軸受)
0.03~0.04
普通ゴム(ベアリング軸受)
0.04〜0.05
普通ゴム(すべて軸受)
0.06〜0.08
  • Wが許容荷重を超えるとき

    μの値は大きくなります

  • Wがそのままで
    車輪の外径または巾を大きくしたとき

    μの値は小さくなります

  • Wがそのままで
    車輪の外径または巾を小さくしたとき

    μの値は大きくなります

キャスターの取付け

  1. キャスターの取付けは正しく確実に行い、ボルトやネジの緩みやガタつきが出ないようにしてください。

    例)ネジ径φ12の場合で適性トルクは220〜500kgf-cmとなります。

  2. キャスターに対し荷重が垂直にかかるように取付けてください。
  3. 旋回キャスターはセンターピンの中心が垂直になるように取付けてください。(図-A)
  4. 固定キャスターは固定キャスター同士が平行になるように取付けてください。(図-B)

図-A

図-B

使用環境

1.通路と路面

路面の凹凸の大きさは衝撃抵抗に比例するため、粗悪路面では最大荷重の維持は不可能です。
同様に通路の段差は落下衝撃となりキャスターの破損・損傷の原因となります。
したがって積荷を落下させたり、キャスターに極度の衝撃を与える使い方をしないでください。

2.作業の内容

下記条件下での使用はできません。どうしても避けられない場合には、必ず採用前に当社までご相談ください。

  1. 水洗いを必要とする現場や、海水に浸かる作業に使用すると、キャスターは錆化・腐食がきわめて早く進行します。
  2. 酸・塩・アルカリその他の薬品についても、著しい劣化現象の原因となります。
  3. 油の付着はタイヤの素材に化学変化をおこし、劣化・破損へとつながります。
  4. 高温(または低温)※の作業現場での使用は、タイヤを中心としてキャスター全体に強いダメージを与え、損傷の原因となります。

保守・点検要領

  1. 安全確保・破損防止のためには、キャスターの定期的な保守・点検が絶対に欠かせません。図C~Fは通常点検時の必須項目です。
  2. 軸受部や旋回部の油切れや、異物の巻込みなどは入念に除去し給油を確実に実施してください。
  3. 旋回金具で最も注意が必要なのは上皿・下皿の開口具合です。
    衝撃により口が開き、さらに鋼球が飛出して旋回機能が阻害されているケースも多いため、直ちに新品に交換してください。
  • 図-C:キャスターの取付部の締付けは完全か?

  • 図-D:金具に亀裂・破損・変型などは生じていないか?

  • 図-E:車輪の軸受・車軸の締結に異常はないか?

  • 図-F:タイヤに亀裂・破損はないか?摩耗の程度は?

取扱上の注意

キャスターの取扱に関しては、下記の指示を必ず守った上で、正しく使用してください。

  1. 勾配のある床面や坂道の途中には絶対に放置しないでください。
  2. ストッパー付のキャスターでも傾斜地への放置はしないでください。
  3. 走行中はストッパー操作を行わないでください。
  4. ストッパーをかけたままでの移動はおやめください。
  5. 機器運搬を動力による牽引は絶対におやめください。
  6. 積荷を落下させたり、キャスターに極度の衝撃を与えないでください。
  7. キャスターに側面からの外力を与えないでください。
  8. 使用者による製品の改造・組替え・塗装、溶接などによる取付け行為に起因する問題に関して、当方は一切責任を負いかねます。
    あらかじめご了承ください。

警告

  • キャスター、車輪の最大荷重を超えた使用をしない。

  • キャスター、車輪を落とさない。強い衝撃を与えない。

  • 歩行速度を超える移動環境で使用しない。車輪径75mm以下は2km/h以下、車輪径100mm以上は4km/h以下で使用してください。

  • 規定の温度(−5℃〜60℃)の範囲を超える環境で使用しない。

  • 酸・塩・アルカリ・油などの特殊環境下で使用しない。

  • 傾斜地へは放置しない。ストッパー付でも同様です。

  • 動力による牽引はしない。(移動は必ず人力で行う)

  • キャスター、車輪のボルト・ナットが弛んだままで使用しない。

関連項目

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